美雨の部屋へようこそ

世界の旅日記や 文化、歴史のぷち・エッセイを書いています。他にも海外、国内のお気に入りのドラマのあらすじ&感想を勝手気ままに綴っています。

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智恵子抄より「生命の大河」 ~老人と放射能~

高村光太郎 「生命の大河」 ~老人と放射能~

ふと思い立って本棚の詩集を取り出してみた。
なぜか、光太郎のレモン哀歌を読んでみたくなったのだ。
さらにページをめくり最晩年の詩を見つけて驚いた。

あまりに現代的なテーマなので、ここに全文を記してみようと思う。
詩人の洞察力は、時代を超えることの典例であろうか。


レモン哀歌


高村光太郎(1883~1956年)
明治の人。
洋行帰りで、西欧にてロマン派の洗礼を受け、フランス象徴詩とロダンの彫刻の影響を色濃く受けた。
古典芸術というものを同時代の息吹として身を以って知っている芸術家である。

本年の大河ドラマ「八重の桜」主人公のハネムーンの地、二本松の「智恵子抄」の詩人としても著名。
偶然ながら、時の風化の中で忘れ去られようとしている意外な内容の詩を発見したので、
ここに記しておこうと思った。


自画像 高村光太郎 大正2年
自画像 高村光太郎 大正2年


「生命の大河」

生命の大河ながれてやまず、
一切の矛盾と逆と無駄と悪とを容れて
がうがうと遠い時間の果つる処へいそぐ。
時間の果つるところ即ちねはん。
ねはんは無窮の奥にあり、
またここに在り、
生命の大河この世に二なく美しく、
一切の「物」ことごとく光る。

人類の文化いまだ幼く
源始の事態をいくらも出ない。
人は人に勝とうとし、
すぐれようとし、
すぐれるために自己否定も辞せず。
自己保存の本能のつつましさは
この亡霊に魅入られてすさまじく
億千万の知能とたたかい、
原子にいどんで
人類破滅の寸前にまで到着した。

科学は後退をゆるさない。
科学は危険に突入する。
科学はのりこえる。
放射能の故にうしろを向かない。
放射能の克服と
放射能の善用とに
科学は万全をかける。
原子力の解放は
やがて人類の一切を変へ
想像しがたい生活図の世紀が来る。

そういう世紀のさきぶれが
この正月にちらりと見える。
それを見ながらとそをのむのは
落語のようにおもしろい。
学問芸術の如きは
うずまく生命の大河に一度は没して
そういう世紀の要素となるのが
解脱ねはんの大本道だ。



二本松城(霞ケ城)跡から、智恵子の愛した故郷二本松のあだたら山をのぞむ 
城跡から安達太良山をのぞむ これが智恵子の「本当の空」だったのかもしれない
これが智恵子の「本当の空」だったのかもしれない 2013.5月撮影



詩は昭和30年12月19日、73歳の作品、翌年元旦の読売新聞に掲載。

詩の背景として、同年11月の日米原子力協定、12月19日の原子力基本法の公布があり、
これが日本の原子力政策の原点である。
当時の首相は鳩山一郎、アメリカ大統領はアイゼンハワー、両者ともフリーメーソン。

この詩は一見、字面として理解し易いように見えて、いささか難解である。
巨大な怒涛のような時代のうねりの中でとまどい挑みながらも陥る自己撞着を表現しているようにも
思われる。
前半の聯を読むと文明暴走の批判かと思えば、途中でトーンが逆転して、
意外にも最後は楽観論となって締めくくられている。
まるで御用学者のように原子力開発の明るい未来を歌ったものなのだろうか。
そして芸術は科学の中で埋没して長いものには巻かれろと言っているのか。


高村光太郎 手
高村光太郎 手



今の世の中で芸術至上主義などを唱えれば、時代錯誤も甚だしき狂人扱いされかねない。
すなわちドンキホーテである。

この詩には、科学と放射能という言葉が執拗に繰り返されている。
圧倒的な力で迫り来る前には芸術などは木っ端微塵に砕け散る。その無力感を暗示したもので、
それを敏感に感じ取りながらの自嘲なのだろうか。
その真意は読み人のそれぞれの中で様々に解釈されよう。

現在の状況を思えば、まさしく影が重なるようではっとしながらも 胸痛む思いである。



高村光太郎1
光太郎の文鳥


この日記を書いて間もない つい先月、仙人のような不思議な老人と出会った。
一期一会の出会いが、智恵子抄の舞台でもある、あだたら山のふもと、二本松の智恵子の世界へと
私を誘ってくれた。
智恵子が、東京には本当の空がない・・・ここには、本当の空がある、と言った、あだたらにうかぶ空だ。

いまも、時空を超えて、智恵子の息遣いがきこえる「本当の空」はここにあったんだよとを教えてくれた
あの仙人のような老人は、いま、どうしているのだろう。

川本さんと言った。

”放射能と老人”の動画。川本さんが出ていた。

老人と放射能(前)
http://www.dailymotion.com/video/xpet6o_20120311-%E8%80%81%E4%BA%BA%E3%81%A8%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD-%E5%89%8D_news
老人と放射能(後)
http://www.dailymotion.com/video/xpetlg_20120311-%E8%80%81%E4%BA%BA%E3%81%A8%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD-%E5%BE%8C_news


智恵子の生家 縁側で智恵子の空を眺めつつ、二人でアイスキャンデーを。
智恵子抄でもおなじみ、智恵子の生家 裏には智恵子美術館が おじいちゃんとアイスキャンデーを



心に描く心象風景というのは、まさしく詩の世界なのだろうが、
その詩がまさかこんなふうにシンクロニシティ―を生み、奇跡の一期一会を創りだすとは・・・

老人との出会いに神の実在を信じられる一方、
あだたらの空のもと、放射能被害で仮設住宅に住み不遇をかこつ心清きひとたちへの
神の天秤の不公平さを思う。

生命の大河は、ここ二本松を潤す阿武隈川のようにごうごうと流れ、いまも問いかける。


美雨



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20130510

Comment

ダリアさま 

観れましたか?
ときどきPC止まってしまって、難儀したでしょう。(自分がそうだったので)
おじいちゃん本来のすみかを桃源郷と表現したダリアさんの心の美しさを深く思います。

この番組は、「お気の毒」とか「よかった」とか、一言では括れない深さをもっていますよね。
おじいちゃんは奥様も「神様」と呼ぶほどに清らかで素晴らしい方ですが、いざ自分がそういった配偶者を持ったらどうだっただろう?自分の時間やスペースも犠牲にして他人に全てご奉仕できるだろうか、その愛情と情熱の半分を家族へ向けてくれたら・・・という意識は芽生えたかもしれない・・・いろんなことを考えました。家族のありかた、他人への姿勢、日本人としての意識。また、ペットと離れ離れにならざるを得ない状況が来たら・・・?いろんな思いが脳裏をかけめぐり、未だに答えを出せていません。

けれど、ダリアさん仰る通り、放射能の脅威は、他人事ではなく、どこに居ても誰にでも起こりうる問題です。火は水で消せても、核は・・・放射能は一度起きたら消すのに半減期だけでも数万年という及びもつかない年数を費やします。原発に安易に依存したがる政治家や推進派は、是非この録画を見てもらって、他人事でない現実を直視していただきたいものですね。この貴重な記録と映像は、きっと各方面に議論と問題提起を呼んだと思います。おじいちゃんだからこそ、出来たのだと、そう思います。
ダリアさん、深い洞察をこめたコメントを、ありがとうございました。
  • posted by MIUMIU 美雨 
  • URL 
  • 2013.06/22 06:56分 
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桃源郷 

美雨さん、こんばんは。
「老人と放射能」、観ました。
豊かな大地と清らかな水、四季折々の美しい花々。
しかし、何よりも美しいのは川本さんの心と生き方ですね。
常に人に優しく人のことを考えつくしてきた川本さん。
そんな方をだます人がいるなんて。いえ、そんな奴は人とは呼べませんね。大事なお金を奪っておいてどこかでのうのうと生きているかと思うと腹立たしくて仕方がありません。
それでも、自分を厳しく律し、まっすぐな生き方を変えない川本さん、どこまでも美しい方ですね。
そんな方に今度は放射能という見えない敵まであらわれるなんて・・・・・
突然、大切な家族のシマちゃんや美しい山里と離れなくてはいけなくなったときの川本さんの心境を考えると涙があふれてきます。
これは他人事ではないんですよね。誰にでも起こりうることなんですよね。放射能はいつどこでどんなかたちで人を襲うか分からない恐ろしい怪物なんだと改めて考えさせられました。
すぐには無理なのは分かっていますが、あの美しい桃源郷に川本さんとシマちゃんが元気に暮らせる日が一日も早く来るように祈っています。
  • posted by ダリア 
  • URL 
  • 2013.06/21 22:18分 
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くろまめさま 

こんばんは。前編、後編、合わせると結構長いのに、視聴下さったのですか。
くろまめさん、ありがとうございます。

私は、TVやおじいちゃんの素性を何も知らず、幸せそうな二人(シマはペットというより家族でした)を見ていたので、映像で原発直後のシマのやせ細った姿を見て、こんなことがあったなんて・・・とショックでなりませんでした。一緒になるために、何度も除染(放射能の、です)をしなければならなかったと聞いていましたが、その後も、計り知れない苦労があると思いました。
前編の放送で、一時帰宅した時に、シマが車の助手席に乗り込んだ時に、川本さんが 「又来るから、降りなさい」というシーンは、号泣しました。ありえない言葉だけど、もし自分が同じ立場だったらと思うと、チー助にこう言うしかなかったのかと 考えざるを得ませんでした。

川本さんは「シマは違った環境に行くよりあの家で終わった方が幸せだよ」と言ってましたが13年も寄り添ったんだから川本さんについて行った方が幸せにきまってます。実際、おじいちゃんは上の言葉に反して、本当は心配で来る日も来る日も眠れなかったこと、そしてシマと避難できて本当に良かったけれど、シマはあの家が恋しくて今も戻りたがっているのが、おじいちゃんにはわかる、と言っていました。方針としては、4年後に戻れるかもしれないとの仮約束があるそうなのですが、そのときおじいちゃんは88歳、シマは18歳(共に実年齢90近いですね)。私は涙が止まりませんでした。
原発問題はまだ解決になりそうもありませんが川本さん、被害に遭われた方が少しでも明るい日が訪れる事を祈ります。
  • posted by 美雨 
  • URL 
  • 2013.06/20 21:48分 
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川本さんとシマちゃん 

美雨さんのブログで川本さんのことを知り、昨日軽い気持ちでとりあえず前編だけ見てみようと思ったのですが・・・結局、前編・後半全て見入ってしまいました。
映像の美しさと厳しい現実のギャップに胸が痛みました。
でもどんな逆境でも、ぶれることなく淡々と自分の意志を貫く川本さん。そして川本さんを見守るかのようなシマちゃんのやさしい表情・・・見終わって、心から川本さんとシマちゃんには幸せになって欲しいと思いました。同時に震災にあわれた多くの人たちや動物たちも。
今回も貴重な情報をありがとう。視聴できて本当に良かったと思っています。
  • posted by くろまめ 
  • URL 
  • 2013.06/20 10:20分 
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tedukuridaisukiさま 

こんばんは(●^o^●)
他のことをやってるときや、忙しい時ほどこういったよそ見をしたくなる…というか
詩とか画集を見てくなってしまう、このB型気質をナントカシナイト・・・と思いながら、一生変わらなそうです。(爆9
高村光太郎の詩って、絵をみているよりピクチャレスクですよね。真の芸術家って、そうなのでしょうね。
  • posted by 美雨 
  • URL 
  • 2013.06/19 23:57分 
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NoTitle 

未来を予知しているかのような
高村光雲の詩。
美雨さん忙しいのに本を手にとって見ているのは
素晴らしい~
見習わないと…
  • posted by tedukuridaisuki 
  • URL 
  • 2013.06/19 23:43分 
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mzyuuさま 

こんばんは。台風の影響で、ムシムシじめじめした陽気が続いている関東です。
梅雨があけたら、猛暑の予感・・・涼しく清々しい場所にいらっしゃるmzyuuさんが羨ましいです。

動画は、観れましたか?
友人からメッセージ頂いたのですが、こちらの動画のほうが
見やすいかもしれない、とのことでした。
前篇
http://www.pideo.net/video/dailymotion/8548a6fc9c8ace07/
後編
http://www.pideo.net/video/dailymotion/f145703f7f331d90/

mzyuuさんも、少女時代、智恵子抄をきっとお読みでしたでしょうね。

私は、あのころ字面だけしか追っていず、深い悲しみまでは読み取れていなかった気がします。
何十年かたって、こうしてあらためて同じ詩集に対面するとき、懐かしい恋人・・とまでいかなくても、
歳をとらないボーイフレンドに、悲しみを知る親世代になった自分が対面しているような
不思議な気持ちに、なりますね。
mzyuuさん、いつも優しさをありがとうございます。
  • posted by MIUMIU 美雨 
  • URL 
  • 2013.06/19 23:37分 
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かえるママさま 

こんばんは。^^
さすが、早いですねかえるママ!もう前篇ご覧になったとは。
私も帰ってからはじめてよくおじいちゃんのことを知り、昔の暮らしぶりや、長く人に尽くされてきた姿勢を知り、さらに感動したのですが、同時にこんな純粋な人をだますような行為をした人間が許せない・・・また、終の棲家(ついのすみか)を奪った原発事件に、怒りを覚えました。
それでもおじいちゃんの瞳はどこまでも優しくて、明るいのです。よく、子は親の鏡だと言いますが、それはペットにも言えることで、シマの優しさ、おおらかさは、おじいちゃんを写す鏡のように感じました。
私も、今自分のできることを、自然体で、続けています。
いろんなことがわかってくると、自分も何かしたい・・という気持ちになりますね。
いつも優しい気持ちで共感して下さって、かえるママありがとうございます。
  • posted by MIUMIU 美雨 
  • URL 
  • 2013.06/19 23:23分 
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お久しぶりです* 

素敵な頁をありがとうございます*
珍しく 忙しい日々で 来週には落ち着くので ゆっくり『川本さん』見ます*
少しだけ見たのですが なんか 涙もろくなっているせいか・・・泣きそうになって(笑)
ゆっくり じっくり 見せて頂きます*
高村光太郎さん 凄いんですね*
昭和30年にあの詩・・・・・うん・・・・・
また ゆっくり コメントします*
『八重の桜』も2回くらい まだ 見ていないので 追いついたら また!!!!
暑い様なので お身体 大切に*
  • posted by mzyuu 
  • URL 
  • 2013.06/19 08:06分 
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NoTitle 

昨日、「老人と放射能」の前編を拝見致しました。
とても涙が出て、NPOに何千万も騙されたことには、その相手方に強い憤りを感じました。
後編を見てからコメントさし上げようと思ってましたが、この記事で、コメントせずにいられなくなりました。
美雨さん!かえるままも何かお力になりたい、と心から思いました....
後編見たら、またコメントさせて下さいね。

またもや、シンクロニシティを感じますね。


  • posted by かえるママ21 
  • URL 
  • 2013.06/19 07:59分 
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サミーさま 

こちらにもコメントいただき、ありがとうございます。m(__)m

「冬の言葉」「当然事」「激動するもの」・・・ どれもいいですよね。
ひとつと決められないくらい好きです。
悲しいけれど優しくて、
力強いけれど儚い。
読むたびに、ふとした時にガツンと目を覚ましてくれます

>「最低にして最高の道」

サミーさんの文章の最後の部分で、はっと思いました。
高村光太郎は、進歩的な芸術家と見えて、妻を精神異常にした夫、
戦意高揚に協力した御用詩人、
戦犯になるのを恐れて逃避と自己否定をした文化人・・・などの側面を持って
清濁併せ呑む、賛否両面があって、一筋縄では語れない人ですね。

大きな人物ですが、意外にも、その高潔な人格ゆえに、姑息で薄情、最低にして最高の道を生きた光太郎に、何とも複雑な気持ちにさせられます。
  • posted by MIUMIU 美雨 
  • URL 
  • 2013.05/13 23:45分 
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光太郎Code 

”冬だ 冬だ 、どこもかも冬だ”
だったかな、ユニクロのCMに「冬の詩」が引用されてたのをよく覚えています
昭和に青春時代を送った者ならだれしもが智恵子抄を手に取り
何かしらの詩を素読していた思います。
大河の~は、見過ごしていた僕自身も、節穴でした。
檸檬哀歌で印象的だったのは、智恵子が亡くなる瞬間、智恵子に戻るという表現でした。
なんとも言えない人間の美しさと儚さを感じました。
自己撞着という言葉で、高村氏の「最低にして最高の道」を思い出しました。
見かたによっては、光太郎の人生こそが、その詩の通りだったかもしれません。

  • posted by サミー 
  • URL 
  • 2013.05/13 21:23分 
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tedukuridaisuki さま 

こんばんは。^^
東北も、春めいて美しい季節ではないでしょうか。
「生命の大河」は、光太郎の最終章となりますが、このころの光太郎は敗戦の厳しさ、広島や長崎の原爆投下を思い起こし、原子力の時代の到来を語ることが多かったといいますね。
でも、灯台下暗し、というか、いつも本棚の一番よく見えるところにあった智恵子抄のなかに、こんな旬でアメージングな詩が眠っていたと思うと、自分のふしあなさが悲しくなります。(>_<)
  • posted by MIUMIU 美雨 
  • URL 
  • 2013.05/12 20:06分 
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ぴおーね親父さま 

ご訪問とコメントありがとうございます。
仰る通り、「生命の大河」は人類に立ちはだかる科学の危険、原子力の持つ恐怖に立ち向かう詩魂であり、”原子力の解放はやがて人類の総てを変え、想像し難い生き物の図の世紀がやってくる”と世に問いただしていますね。
この詩は、芸術家、詩人として”生命の大河は永久に流れて止まず”と人類が永遠に営む世界を信じ、光太郎が最後に願ったものではないでしょうか。



> こんばんは。
>
> 本当に 今の時代を この災難の時を
> わかっていたかのような 詩ですね。
> 芸術家の先を見通す眼を 驚愕の思いで 読ませて頂きました。
  • posted by MIUMIU 美雨 
  • URL 
  • 2013.05/12 20:02分 
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かえるママさま 

かえるママさま、いつも真摯なコメントをありがとうございますm(__)m
この詩の中に、私と同じく、時を超えてのシンクロニシティ―、隠れたメッセージを感じ取って下さってとても嬉しいです。
この詩を書いたときの光太郎の閉塞感はいかばかりだったでしょう。
確かに現代のような安全な場所から批判するのは簡単です。しかし、戦争初期の勝ち戦の連続と戦争末期の負け戦の隠蔽、その期間を通じて国民を挙げた高揚感の中で、誰が反戦の声を挙げることができたでしょうか。特高に追われて拷問の憂き目に遭う状況において、筆を折り沈黙することは生きる糧を失うことに等しく、著名人であればなおさらのこと、時流に沿った道を選ぶしかなかったわけですから。
 戦後,光太郎は自らが書いた戦意発揚の詩に励まされて戦地に赴いた若人たちに対する自責の念もあって、岩手の山奥の小屋に7年間蟄居しています。そして戦後は何度も芸術家としての名誉を与えられる機会がありながら、これを悉く辞退しています。
敗戦後すぐに踵を返すように無節操に変節していった作家たちの姿を、太宰は苦々しく書いていましたが、そういう意味では真摯に過去の内省をした人物だったのではないでしょうか。
光太郎の詩の生命力は、フランスの芸術の息吹を浴びて、帰国後に日本の旧弊に反抗する中で培われ、智恵子との愛と死と共に終焉を迎えた、というような気がいたします。
  • posted by 美雨 
  • URL 
  • 2013.05/12 19:55分 
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sunnylake さま 

コメントしづらいテーマなのに、sunnylakeさん、ありがとうございます。m(__)m
逆説的とも、自己撞着とも取れるなんとも危うげなこの詩を読み、複雑な気持ちになったのは同様で、それゆえに題材として取り上げてしまいました。

そういえば、詩人のsunnylakeさん、光太郎氏と同じく、よく素敵なオブジェを作られますね。^^
思い出したのですが、知恵子抄で名を馳せた光太郎も、彼自身の本分はあくまで彫刻家と言っていました。 また、智恵子との暮らしを支えるために作ったものは 木彫の小品群でした。
矛盾を抱えながらですが「さざえ」の木彫を彫った時に、「こんな小さなものにも軸がある」と実感したという小文が残されています。
対象の軸を掴まえてものを見る、そして作る・・・詩作と彫刻作品は共に通じる軸がありますね。もし光太郎が、この放射能と対になる彫刻を施していたらどんな作品になったのかと、一寸どきどきしています。
sunnylakeさんも、詩作と対で素敵なオブジェを、創りつづけてくださいね。
  • posted by 美雨 
  • URL 
  • 2013.05/12 19:46分 
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くろまめさま 

硬いテーマなのに、コメントありがとうございます。m(__)m
くろまめさん仰る通り、生命への優しい視線を感じる作品から、光太郎の未来を憂う心が偲ばれます。
私も、「文鳥」に目が釘付けでした。高村光太郎の小さい木の作品は色が優しく着色されていて、 手触りも良さそう・・・ 智恵子が一日中持って歩きたくなる気持ちがわかります。^^
光太郎は、戦争期のことを批難されることもありますし、自己中心的で、妻を狂わせた男との批判的な側面もあるけれど、智恵子と光太郎の関係は一概にこうだと言えない位興味深くて、いろいろ考えさせられます。
  • posted by 美雨 
  • URL 
  • 2013.05/12 19:31分 
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サムさま 

こんにちは。^^ 早々にコメントありがとうございます。
この詩を知恵子抄に見つけたときは驚きました。私はなんと節穴であったか・・・読めば読むほど60年前に書かれたものとは思えませんね。また、未来への警鐘とも思える具体的なキーワードがこれほどに散りばめられた詩を、見たことがありません
手塚治虫にせよ、光太郎にせよ、もの書き、詩人の魂は未来とつながるパイプを持っているかのようです。

  • posted by 美雨 
  • URL 
  • 2013.05/12 19:21分 
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NoTitle 

美雨さん
良く見つけましたね!

今にちょうどマッチする
高村光太郎の詩
原子力に対して複雑な心境

考え直さないと…ですね。
  • posted by tedukuridaisuki 
  • URL 
  • 2013.05/12 00:48分 
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NoTitle 

こんばんは。

本当に 今の時代を この災難の時を
わかっていたかのような 詩ですね。
芸術家の先を見通す眼を 驚愕の思いで 読ませて頂きました。
  • posted by ピオーネ親父 
  • URL 
  • 2013.05/11 22:05分 
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NoTitle 

高村光太郎の智恵子抄、レモン哀歌、小学生の頃に生まれて初めて知った、「夫婦の純愛の詩」でした。
詩は、疎いのですが、これだけは忘れられない詩です。
「生命の大河」すごいですね。予言者の様な詩ですね。
何か、時を超えてのシンクロニシティを感じます。(矛盾した表現かしら?)
不思議なことはありますね。
ケネディとリンカーンの様な...ミステリーを感じます。
この詩の中に、隠れたメッセージが秘められてそうな気もしますね...
無力感にうちひしがれる気持ち、重なります。
考えさせられる記事でした。美雨さん、ありがとうございます。

  • posted by かえるママ21 
  • URL 
  • 2013.05/11 22:03分 
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NoTitle 

勢いのある生命の大河の流れに身を任せつつ、原子力への批判を思いながらも、あえてそれに体当たりはしない。
少し離れた場所から、「きっとそうなるのだろう」と冷めた気持ちで見ている・・・そんな詩なのかなと思いました。
  • posted by sunnylake 
  • URL 
  • 2013.05/11 15:02分 
  • [Edit]

NoTitle 

放射能のくだりでは、胸を突かれました。
真っ直ぐな視線が、未来を予告していますね。
自ら彫った、木彫りの文鳥が、光太郎の生命への優しい視線を感じます。
美雨さんの洞察力にも感謝です。
  • posted by くろまめ 
  • URL 
  • 2013.05/11 10:55分 
  • [Edit]

NoTitle 

60年近くも前に書かれた詩の世界と現在、
何と大差のないことでしょう。
進歩が見られないということは、後退を意味します。
時が止まってしまっているかのようです。
あの世で、今を高村光太郎はどのような詩に編んでいるのでしょうか?
  • posted by サム 
  • URL 
  • 2013.05/11 04:28分 
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プロフィール

MIUMIU 美雨

Author:MIUMIU 美雨
旅、歴史、長編ドラマ(短編も)のレビューやエッセイを書いています。
文化系の記事が多いですが、歴史ドラマ(大河ドラマ:八重の桜)や、韓ドラレビューも書きます。中でもソン・イルグクさんの作品が大好きです。
更新はマイペースで続けていきますのでどうぞよろしくお願い致します。

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善徳女王
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