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世界の旅日記や 文化、歴史のぷち・エッセイを書いています。他にも海外、国内のお気に入りのドラマのあらすじ&感想を勝手気ままに綴っています。

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エトルリアとルネサンスの街アレッツォ 『聖十字架伝説』を求めて

エトルリアとルネサンスの街アレッツォ 『聖十字架伝説』を求めて


フランチェスコ アレッツォ
聖フランチェスコの物語より「アレッツォからの悪魔の追放」byゴッツォリ


アレッツォ...ミシュランガイド片手に一人回った旅を、昨日のことのように思い出す、薔薇のつづら絵のような、フランチェスカの香る街。
日本人の急ぎ旅観光客は、ローマからヴェネツィアを訪ねるときもフィレンツェに立ち寄るくらいで(頑張ってもアッシジ位かな)、アレッツォやシエナ、サン・ジミャーノなどは素通りされてしまいます。

確かにフィレンツェやアッシジは譲れないかもしれないけれど、折角イタリア文化の旅に訪れながらルネサンスやローマ文化などより遥かに古い、イタリアの根幹とも言えるエトルスクの遺物や文化を見ずして何をや語らんや?と、現地に住む人達は苦言を呈してきます。(笑)
百聞は一見にしかず、で、来て見て初めてわかる、実物大の素晴らしさ。
カエサルの名言”VENI, VIDI, VICI”「来た,見た,勝った」は、案外、イタリアのどの街でも通用する名言かもしれない。


アレッツォ グランド広場
アレッツォ グランド広場

サン・フランチェスコ教会
アレッツォ2


さて、ローマとフィレンツェの間に位置するアレッツォに立ち寄ったのは、サンフランチェスコ教会を訪れて、ピエロ・デ・ラ・フランチェスカ(1415~92年)の壁画を観ることが目的でした。

この画家の名前を知ったのは、学生時代に一般教養過程でルネサンス美術史を選択したことがきっかけでした。教授が自らイタリアを旅して撮影したスライドを使った講義は殊に興味深く、ミケランジェロ、ラファエロ、ダヴィンチといった誰もが知っている巨匠以外に、シエナやオルビエートといった街、ブルネレスキ、マサッチョ、ドナテッロ、ヴァザーリといった芸術家たちの存在を知ったのです。

とりわけ、グアトロチェント(1400年代)のトスカーナ美術におけるピエロ・デ・ラ・フランチェスカの評価は高い。一体どんな絵なのか、いつか自分の眼で見たいと思っていた絵画のひとつでした。前回2004年のトスカーナを中心とした旅の際には時間がなくて断念したが、今回はローマ空港に降り立つと、そのまま列車をテルミニ駅で乗り換えて、まずはアレッツォに向かいました。

駅に降りたつと観光客の姿はあまりなく、街並みもひっそりとしていますが、古代エトルリア起源でローマ時代・中世・ルネサンスと繁栄した都市でした。
ペトラルカ、ヴァザーリもこの町で生まれており、旧市街の一角には生家が残っています。


出土したエトルリア時代の小さな女性ブロンズ像(紀元前6世紀)
出土したエトルリア時代の小さな女性ブロンズ像(紀元前6世紀)



エトルリアに関しては、以前も料理記事に織り込んで取り上げましたが、イタリアを知るにつれて、徐々にエトルリア文化に惹かれてくるのは美雨にとって自然の成り行きのように思えます。
後代のローマの繁栄があるのは、エトルリア人から受け継いだ文化と技術のお陰であると言ってもよいくらいでしょう。
自分としてはそこにも古代ケルト(この言葉自体が持つ地域的イメージがもどかしいですが)の流れを見てしまうのです。中央アジアに起源が求められるという彼らは、現在のクロアチアあたりを経て、枝分かれしながら、イタリア半島に移住した一派が、アペニン山脈からトスカーナ地方に山上集落を形成して、高度な文明を発展させたのではないかと想像されるのです。



アレッツォ

アレッツォ・丘からの眺望

アレッツォ・丘からの眺望



余談ですが、訪れるまで全く知識なかったのですが、ドレミファソラシドという音の確定と記譜法を考えた人も、この近くの出身なんだよ、と丘の上でゲートボールに興じていたお爺さん達に教えてもらったのを覚えています。全部イタリア語(しかも訛りつき)なので最初なにを言いたいのかよくわからなかったのですが、ドレミファソラシド♪と歌ってくれてな~る...と納得。本当に身振り手振り歌振り(?笑)でお話するイタリアっ子(爺さん?)大好きです。
何故かお爺さんたち、「地○の歩き方」を知っていて、ここを訪れる日本人はみなあの本を持っているのに何故君はミシュラン(←ヨーロッパ式)なんだ?と楽しい質問をしてきます。何も考えなく「ミシュラン片手に、というところがオシャレ♪でしょ?」と返すと、”cara bella" かわいいねえとキスしてくれた人懐っこいお爺ちゃんたち、どうしているでしょう。
ちなみに、ミシュラン日本語版は専門的で内容はとっても濃いのに、写真が乏しいがために、あまり日本では売れ筋の案内書ではなかったようです。あと、ガリマール社&同朋舎出版の「望遠郷シリーズ」も優れたガイドブックでしたが、もう絶版になってしまったのが美雨的には至って残念。


内部 絵葉書
内部 絵葉書


では、本題である、フランチェスカの『聖十字架伝説』を求めて 、教会へ。
市街地の中にある教会は荒削りな壁で未完成のまま残されている。堂内はひっそりとしており、ビデオモニターのある部屋でお喋りに興じている係員が2人のみ。
切符を提示すると、内陣の一連のフレスコ画「聖十字架伝説」(1452~66)に通されます。
修復は1985年~2000年にかけて15年もかかっており、足場が撤去されたのは数年前。
何よりも品のある鮮やかな色彩に圧倒されます。それぞれの人物がまとう衣装の色彩の展開も素晴らしい。そして画面全体に漂う静謐感・・ダヴィンチやボッティチェリが出現するひと時代前の作品なのです。しばし絵の世界に吸い込まれるように魅入ってしまった・・・。
アレッツォは、この絵を見るためだけにでも 訪れる価値があります。


ピエロ・デッラ・フランチェスカ作「聖十字架伝説」より
ピエロ・デッラ・フランチェスカ作「聖十字架伝説」かなり傷んでるのは残念!
コンスタンティヌス帝とマクセンティウス帝の戦い・コンスタンティヌス帝の勝利


フランチェスカの「ソロモンとシバの女王」は不思議なほど惹かれる絵です。どの人物も彫像のように神々しく美しいばかりでなく、光の取り入れ方が巧妙な上、まるで人物自身が微光を発しているのか、と思うような独特の明るさがあります。また衣裳のひだや模様に至るまで、当時のひとたちの美的センスがうかがえるような見事な写実に目を奪われます。
古代の時代考証的な資料が乏しかったのか、クアトロチェントの感性で描きたかったのかは分かりませんが、ピエロが敢えて現代の(当時の、というべきか。笑)衣装や風俗を描き込んでくれたことで、この絵は更なる評価を得た気がしています。
オリエントへの憧憬なのか、東洋人のような細い瞳も哲学的で印象的です。


アレッツォ1
聖木の礼拝・ソロモン王とシバの女王の会見



ピエロ・デ・ラ・フランチュスカ・・・彼のあしらうその豪奢な色彩には、もう惚れ惚れとしました。
これは実物を見ないことにはわかりませんが、決して俗っぽい成金趣味に堕落していない、実に高貴な色です。
オリエントの影響、これなしにはルネサンスの存在は考えられません。

まさしく、その直系の文化的な遺伝子があでやかに花ひらいて咲いた絵画、そんな気がします。



美雨


❤最後まで読んでくれてありがとう❤
工事現場の囲いもクアトロチェント(ルネッサンス)!さすがイタリア
工事現場の囲いもクアトロチェント(ルネッサンス)!さすがイタリア


注 
堂内は撮禁なので、「ソロモン王とシバの女王の会見」の画像はガイドブックより
教会写真はドォオーモ(大聖堂)、この絵画が収められている所ではありません。




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